2005年 09月 15日
インターネット時代到来!? |
在外選挙権の制限は違憲 選挙区投票認める 最高裁判決
asahi.comの記事にリンクしました。
「98年の公職選挙法改正で衆参の比例選に限り在外投票が認められた。だが衆院小選挙区、参院選挙区については、まだ実現していない。投票権の制限は違憲だと訴えた裁判の最高裁判決が、衆院選投票日の3日後に出される」というニュースを、minabakoさんのサイトで知りました。その理由は、「海外では各候補者の主張までは分からないだろう、先進国と途上国では情報量が違い不公平を生む」というもの。その判決が出されたという訳です。記事中、ニュースソースへのリンクが切れていましたので本文をコピーします。
「面白い選挙」投票ダメ、悔しがる在外邦人…判決注目
「刺客」候補や新党設立などで衆院選が盛り上がる中、小選挙区には投票できない人たちがいる。約72万人ともされる海外暮らしの有権者だ。
一部の在外邦人が、投票権の制限は違憲だとして国を訴えた裁判は、提訴以来9年ぶりに最高裁判決が出されるが、言い渡しは衆院選投票日の3日後。海外では候補者の主張が入手しづらいなどという理由で投票が制限されているのに対し、原告たちは「今こそ外から日本を見る視点が必要なのでは」と残念がっている。
「日本にいれば、環境相が刺客として放たれた東京10区が私の地元。こんなおもしろい選挙に投票できないなんて」。原告団長で、米ロサンゼルス在住41年の建築家高瀬隼彦(はやひこ)さん(75)が悔しがる。
提訴したのは1996年11月。その3年前、非自民連立の細川護煕政権が誕生した際、海外在留邦人が国政選挙に投票できないことに疑問を感じたことがきっかけだったという。
1、2審は敗訴したが、原告らの運動も影響し、98年の公職選挙法改正で衆参の比例選に限り在外投票が認められた。だが衆院小選挙区、参院選挙区については、まだ実現していない。
その理由は、海外では各候補者の主張までは分からないだろう、先進国と途上国では情報量が違い不公平を生む――などというものだが、高瀬さんは「今やインターネット、日本のテレビの海外放送などで時間差なく情報が入る」と反論。原告の1人でフィリピン在住の日本食材店経営、島田栄さん(62)も「途上国でもネットが使える今、関心があれば情報は得られる」と強調する。
海外から一票を投じる意義について、原告団事務局長を務めるロサンゼルスのビジネスコンサルタント、若尾竜彦さん(64)はこう話す。「海外の人々は、在留邦人を通して日本を見ている。世界の中で日本が繁栄するにはどうすればいいか。そんなことを日ごろ考えている私たちの意見を国政に反映してもらいたい」
原告で英国在住の大学教授、富田庸さん(43)も「今年は中国の反日運動、靖国問題など、海外でも日本への関心が高い。こんな時こそ、大局観のある政治家に一票を投じたい」と話す。
外務省によると、在外邦人は約96万人(昨年10月現在)で、うち約72万人が有権者と推定される。
米国ではイラクの戦場から兵士たちが大統領選に一票を投じるなど、世界の多くの国では海外在住者に投票権を認めており、日本は少数派だ。最高裁は裁判官全員が参加する大法廷に審理を移しているが、どんな憲法判断を示すのか――。
(読売新聞) - 8月23日19時8分更新
在外選挙人登録もしてない私が偉そうに言えませんが、これだけインターネットが普及している昨今、「その気になれば」情報はいくらでも入手できます。最高裁も「通信手段が地球規模でめざましい発達をとげており、在外国民に候補者に関する情報を伝えることが著しく困難とはいえなくなっている」と言い渡したそうです。
それにしても慰謝料5000円とは・・・。
在外選挙人登録手続き申請後、選挙人証が交付されるまでは2ヶ月程度かかるとのこと。今回の公示後に手続きしても遅かった訳です。在外選挙制度については外務省のサイトに詳細が出ています。
リンク切れに備え、朝日新聞の記事前文もここにコピーしておきます。
在外選挙権の制限は違憲 選挙区投票認める 最高裁判決
2005年09月14日21時49分
海外に住む日本人に国政選挙の選挙区での投票が認められていないことをめぐる訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・町田顕長官)は14日、海外在住者について「選挙権を制限する公職選挙法の規定は憲法に違反する」との判断を示した。そのうえで「選挙権を認める法律を作らなかったのは違法だ」と国会の「立法不作為(怠慢)」を指摘して、国家賠償法に基づき原告らに1人あたり5000円の慰謝料を支払うよう国に命じた。
上告していたのは、海外に住む日本人11人と帰国した2人。訴訟は96年、53人が国を相手に、公選法の違法確認と1人5万円の慰謝料を求めて起こした。海外の有権者は70万人を超すとされる。判決は、原告らが次回衆院選の小選挙区と参院選(通常選挙)の選挙区で投票できる地位にあることを確認しており、国会は速やかな法改正を強く求められた形だ。
最高裁が法律を違憲と判断するのは02年の郵便法違憲判決に次いで7件目。国会が法律を作らなかったり、改正しなかったりする立法不作為について、最高裁が違法と認めたのは初めてだ。
これまで、国政選挙のあり方については、国会の自由な判断に任せる部分を幅広く認める判決が主流だった。訴訟の中で国側は「選挙区選挙で在外選挙制度を公正に混乱なく実施するためには、海外のどこに住んでいても候補者に関する情報を同様に提供する必要があるが、選挙期間内の周知・徹底は困難だ」などと主張していた。
これに対し、大法廷はまず、憲法が選挙権を国民固有の権利として保障していることを強調。「通信手段が地球規模でめざましい発達をとげており、在外国民に候補者に関する情報を伝えることが著しく困難とはいえなくなっている」と指摘し、「選挙権を制限するやむを得ない理由があるとはいえない」と述べ、公選法の規定は違憲無効で11人には選挙権があるとした。
慰謝料をめぐっては、内閣が84年の時点で、問題があっても解決できることを前提に、選挙区選挙の在外投票を可能にする法案を提出していたことを重視。「廃案後10年以上、何らの立法措置もとられず、原告らは精神的苦痛を受けた」として国の責任を認めた。
判決には14裁判官が関与。津野修裁判官は内閣法制局で立法にかかわっていたため、自ら関与しなかった。選挙権の確認については上田豊三、横尾和子の2裁判官、慰謝料については2裁判官と泉徳治裁判官の計3人が反対意見を述べた。
一審・東京地裁と二審・東京高裁は確認の訴えを「裁判所の審理になじまない」として却下(門前払い)し、慰謝料請求は棄却していた。
◇ ◇
〈キーワード・在外邦人の選挙権〉 海外に住む日本人の選挙権は長年、衆・参院選で全く認められていなかった。98年の公選法改正で衆院と参院の比例区についてだけ認められたが、衆院の小選挙区と参院の選挙区は認められていない。この改正で、市町村の選挙管理委員会が新たに「在外選挙人名簿」を作り、保管することになった。在外邦人は日本で最後に住んだ場所(94年4月30日以前から海外で暮らしている場合や日本に住んだことがない場合は本籍地)の選管に名簿への登録を申請できる。投票は住んでいる国の大使館などでするか、郵送で行う。
asahi.comの記事にリンクしました。
「98年の公職選挙法改正で衆参の比例選に限り在外投票が認められた。だが衆院小選挙区、参院選挙区については、まだ実現していない。投票権の制限は違憲だと訴えた裁判の最高裁判決が、衆院選投票日の3日後に出される」というニュースを、minabakoさんのサイトで知りました。その理由は、「海外では各候補者の主張までは分からないだろう、先進国と途上国では情報量が違い不公平を生む」というもの。その判決が出されたという訳です。記事中、ニュースソースへのリンクが切れていましたので本文をコピーします。
「面白い選挙」投票ダメ、悔しがる在外邦人…判決注目
「刺客」候補や新党設立などで衆院選が盛り上がる中、小選挙区には投票できない人たちがいる。約72万人ともされる海外暮らしの有権者だ。
一部の在外邦人が、投票権の制限は違憲だとして国を訴えた裁判は、提訴以来9年ぶりに最高裁判決が出されるが、言い渡しは衆院選投票日の3日後。海外では候補者の主張が入手しづらいなどという理由で投票が制限されているのに対し、原告たちは「今こそ外から日本を見る視点が必要なのでは」と残念がっている。
「日本にいれば、環境相が刺客として放たれた東京10区が私の地元。こんなおもしろい選挙に投票できないなんて」。原告団長で、米ロサンゼルス在住41年の建築家高瀬隼彦(はやひこ)さん(75)が悔しがる。
提訴したのは1996年11月。その3年前、非自民連立の細川護煕政権が誕生した際、海外在留邦人が国政選挙に投票できないことに疑問を感じたことがきっかけだったという。
1、2審は敗訴したが、原告らの運動も影響し、98年の公職選挙法改正で衆参の比例選に限り在外投票が認められた。だが衆院小選挙区、参院選挙区については、まだ実現していない。
その理由は、海外では各候補者の主張までは分からないだろう、先進国と途上国では情報量が違い不公平を生む――などというものだが、高瀬さんは「今やインターネット、日本のテレビの海外放送などで時間差なく情報が入る」と反論。原告の1人でフィリピン在住の日本食材店経営、島田栄さん(62)も「途上国でもネットが使える今、関心があれば情報は得られる」と強調する。
海外から一票を投じる意義について、原告団事務局長を務めるロサンゼルスのビジネスコンサルタント、若尾竜彦さん(64)はこう話す。「海外の人々は、在留邦人を通して日本を見ている。世界の中で日本が繁栄するにはどうすればいいか。そんなことを日ごろ考えている私たちの意見を国政に反映してもらいたい」
原告で英国在住の大学教授、富田庸さん(43)も「今年は中国の反日運動、靖国問題など、海外でも日本への関心が高い。こんな時こそ、大局観のある政治家に一票を投じたい」と話す。
外務省によると、在外邦人は約96万人(昨年10月現在)で、うち約72万人が有権者と推定される。
米国ではイラクの戦場から兵士たちが大統領選に一票を投じるなど、世界の多くの国では海外在住者に投票権を認めており、日本は少数派だ。最高裁は裁判官全員が参加する大法廷に審理を移しているが、どんな憲法判断を示すのか――。
(読売新聞) - 8月23日19時8分更新
在外選挙人登録もしてない私が偉そうに言えませんが、これだけインターネットが普及している昨今、「その気になれば」情報はいくらでも入手できます。最高裁も「通信手段が地球規模でめざましい発達をとげており、在外国民に候補者に関する情報を伝えることが著しく困難とはいえなくなっている」と言い渡したそうです。
それにしても慰謝料5000円とは・・・。
在外選挙人登録手続き申請後、選挙人証が交付されるまでは2ヶ月程度かかるとのこと。今回の公示後に手続きしても遅かった訳です。在外選挙制度については外務省のサイトに詳細が出ています。
リンク切れに備え、朝日新聞の記事前文もここにコピーしておきます。
在外選挙権の制限は違憲 選挙区投票認める 最高裁判決
2005年09月14日21時49分
海外に住む日本人に国政選挙の選挙区での投票が認められていないことをめぐる訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・町田顕長官)は14日、海外在住者について「選挙権を制限する公職選挙法の規定は憲法に違反する」との判断を示した。そのうえで「選挙権を認める法律を作らなかったのは違法だ」と国会の「立法不作為(怠慢)」を指摘して、国家賠償法に基づき原告らに1人あたり5000円の慰謝料を支払うよう国に命じた。
上告していたのは、海外に住む日本人11人と帰国した2人。訴訟は96年、53人が国を相手に、公選法の違法確認と1人5万円の慰謝料を求めて起こした。海外の有権者は70万人を超すとされる。判決は、原告らが次回衆院選の小選挙区と参院選(通常選挙)の選挙区で投票できる地位にあることを確認しており、国会は速やかな法改正を強く求められた形だ。
最高裁が法律を違憲と判断するのは02年の郵便法違憲判決に次いで7件目。国会が法律を作らなかったり、改正しなかったりする立法不作為について、最高裁が違法と認めたのは初めてだ。
これまで、国政選挙のあり方については、国会の自由な判断に任せる部分を幅広く認める判決が主流だった。訴訟の中で国側は「選挙区選挙で在外選挙制度を公正に混乱なく実施するためには、海外のどこに住んでいても候補者に関する情報を同様に提供する必要があるが、選挙期間内の周知・徹底は困難だ」などと主張していた。
これに対し、大法廷はまず、憲法が選挙権を国民固有の権利として保障していることを強調。「通信手段が地球規模でめざましい発達をとげており、在外国民に候補者に関する情報を伝えることが著しく困難とはいえなくなっている」と指摘し、「選挙権を制限するやむを得ない理由があるとはいえない」と述べ、公選法の規定は違憲無効で11人には選挙権があるとした。
慰謝料をめぐっては、内閣が84年の時点で、問題があっても解決できることを前提に、選挙区選挙の在外投票を可能にする法案を提出していたことを重視。「廃案後10年以上、何らの立法措置もとられず、原告らは精神的苦痛を受けた」として国の責任を認めた。
判決には14裁判官が関与。津野修裁判官は内閣法制局で立法にかかわっていたため、自ら関与しなかった。選挙権の確認については上田豊三、横尾和子の2裁判官、慰謝料については2裁判官と泉徳治裁判官の計3人が反対意見を述べた。
一審・東京地裁と二審・東京高裁は確認の訴えを「裁判所の審理になじまない」として却下(門前払い)し、慰謝料請求は棄却していた。
◇ ◇
〈キーワード・在外邦人の選挙権〉 海外に住む日本人の選挙権は長年、衆・参院選で全く認められていなかった。98年の公選法改正で衆院と参院の比例区についてだけ認められたが、衆院の小選挙区と参院の選挙区は認められていない。この改正で、市町村の選挙管理委員会が新たに「在外選挙人名簿」を作り、保管することになった。在外邦人は日本で最後に住んだ場所(94年4月30日以前から海外で暮らしている場合や日本に住んだことがない場合は本籍地)の選管に名簿への登録を申請できる。投票は住んでいる国の大使館などでするか、郵送で行う。
by mistymont
| 2005-09-15 08:29
| 歳時記