2006年 08月 17日
French Book Art/Livres d'Artistes: Artists and Poets in Dialogue |
少し前のことですが、素晴らしい展覧会に行ってきました。
数日中に追記します。
NY Public Libraryのサイトより。
19世紀末に始まった、フランスに於ける詩人と画家とのコラボレーションによって生まれた作品を一同に集めた展覧会。展示作品の殆どが、会場となったNY市立図書館と、パリ大学付属の Bibliothèque littéraire Jacques Doucet の所蔵品だそう。こんな素晴らしい作品が図書館に眠っているなんて!一般貸出の他に、本の収集・保存という図書館の重要な役割を再認識しました。
展覧会の紹介文に何度も出てくる "dualogue" という言葉に表れているように、(静的な)本文と挿絵という枠を超え、言葉が絵を、絵が言葉を刺激し合いながら作り上げられたのが "livres d'artistes"、「画家の本」ということになるのでしょう。
パンフレットによると、この新しい出版の形は、象徴主義、キュビズム、ダダイズム、シュールレアリズム、実存主義などの20世紀の美術史(芸術運動)の流れとともに発展を見せた。その先駈けとなったのが、1875年、1876年に相次いで発表されたマネとマラルメのコラボレーション。写真を見つけたので載せておきます。
エドガー・アラン・ポーの詩集 『大鴉』のマラルメによる仏訳版。マネのイラスト入りで1875年の出版。
もう一つの共作、『半獣神の午後』はこちらに写真があります。1876年刊。
他に、展示会で特に気に入った作品の写真を探したので、年代順に載せます。
1918年刊の、トリスタン・ツァラとハンス・アルプによる共作、"Vingt Cinq Poèmes"。
(このアイオワ大学図書館のダダ・コレクションはものすごく充実してそう。時間があるときにゆっくり眺めてみます。)
アポリネールとデ・キリコの "Calligrammes"(1930年)。波打つような活字の並べ方が素敵。ちょっと前に「ハード・ロック・カフェ」に展示されていたジョン・レノン自筆(というか自タイプ)の手紙のタイプ文字が、渦を巻いていたり躍動感に溢れていて感動したけれど、彼のオリジナルという訳ではなかったのか・・・。
ジャン・デュビュッフェ作・絵の "Ler dla canpane (Dee Contree Err)" という作品がとても面白かった。"L'Air de la campagne" というのを聞こえるままに綴ったもの。品質の悪い紙やインクを強調し、わざと粗野で綴りのめちゃくちゃな文章にしたそうです。1948年刊。
こちらは、ポール・エリュアールの "Liberté j’ecris ton nom" という詩。イラストはフェルナンド・レジェ。叫び声が聞こえてくる気がして胸が締め付けられそうになりました。レジスタンスの一員だったエリュアールの、抑圧からの解放を詠んだこの詩は、フランスの小学校で暗誦させられるほどの重要作品なんだとか。
製本、レタリング、紙、などに目がない私には、この展覧会はとてもツボにはまるものでした。
本文が読めれば、もっともっと楽しめたんでしょうけど。
順路の最後にあるポートレートの小部屋もよかったです。
でも、何よりも素晴らしかったのは展覧会場前に山と積まれていたパンフレット。
主な作品の紹介はもちろんのこと、それらの作品が生まれた背景として、仏文化・政治・社会史などと照らし合わせた年表つき。今まであまり考えたことのない、芸術運動と時代の流れの相互影響について考えるきっかけを与えてくれました。
==========
という訳で、大変遅くなりましたが追記しました。
またまた一ヶ月ぐらい間が開いてしまいましたが、その間に撮りだめた写真を少しずつアップしてます。思いっきり季節外れなものも多いですが。
by mistymont
| 2006-08-17 11:07
| 文化・芸能